小堀の日本語教 師への道 !
2003


筆者プロフィール
文教大学 日本語日本文学科卒業後、中国 陝西省 西安外国 語学院大学へ日本語教師として赴任していました。
現在、紳士服店から一転、都立高校に赴任し活躍中!
ちなみに、現役時代のポジションはテール・ バック兼リターナー 


第34話 俺的リラクゼーション  
 12月23日の夜に発生した重慶市のガス噴出事故。みなさ んはご存知でしょうか?死者233人、負傷者1万8000人 の大惨事…。実は自分その封じ込め作業中に旅行で重慶市にい ました…。事故に気づいたのは西安に帰ってきてからなんです が…。相変わらず危ない橋を渡っております。

 話は変わりますが、自分は今、中国茶にはまってます。「今 更かよ!」って感じですが、中国茶って奥が深いんです。まず 茶葉。「中国」って聞くと、「烏龍茶」が思い浮かぶと思いま す。でも、一言で「烏龍茶」っつっても、何百種類ってあるん です。中国の老舗のお茶屋さんに入って「烏龍茶ください」っ つったら、間違いなく

「(.∀.)カエレ!」

って言われます。比較的優しいお店では、「烏龍茶ください」 っつったら「あんた何人さ?」って聞かれて、何も言わずに最 低でも3〜4種類の烏龍茶を淹れてくれます。で、そのお茶の 淹れ方も独特で、「功夫茶(クンフー茶)」と言われる中国独 特の淹れ方で淹れてくれるんです。あま〜い香りがする烏龍茶 から、「飲めねーよ!」ってゆーぐらい苦い烏龍茶まで。中国 のお茶屋さんって日本と違い商売する気ゼロなんです。
だから 、さんざんお茶飲んで「おいしかった。ありがとう。」 っつってお店でても全く問題なし。むしろ、「おいしい」って 言ってくれるだけで、お茶屋さん的には満足なんだそうです。  そんなお茶屋さんの心意気と「功夫茶」に魅せられて、「お 茶屋さんセット」を一式購入しちゃいました。しかし、そんな に甘い世界じゃなかったです。「功夫茶」独特の淹れ方で、急 須にお湯を注ぐ時は熱湯を高い位置から茶葉に圧力をかけなが ら注がないといけないんですが、これが意外と難しい。両手に 軽い火傷を負いました…。実際、自分で淹れたお茶を飲んでみ ても苦かったり薄かったり、やっぱりお店のと味が違うんです 。
それが悔しくて、何回も淹れなおして淹れなおして…。5回に 1回ぐらい
「キタ━━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━━!!! 」
って味のお茶が淹れられるんです。その瞬間、なんつーか俗世 とはかけ離れた世界にワープしてしまったようななんとも言え ない精神的安定感が味わえるんです。
 その瞬間を求めて、また今日も火傷しながらお茶を淹れてし まうんです…。


第33話 思い込み   
 先日、ようやく中間試験の採点が終わりました。みんなカナ リ日本語がうまくなっちゃって、なかなか面白い間違いしてく れなかったです。喜ばしいことなんですが…。ちなみに、中間 試験のお題は「今までで一番うれしかった事を発表したまえ。 」でした。若干一名、テーマと違う発表をした学生がいました 。通常の授業なら指摘するところですが、テストだったので敢 て注意はしませんでした。

学生:「アメリカがイクラに攻撃を開始しました。」
俺:「(今、『イクラ』っつったよな?)」
学生:「たくさんの罪のないイクラ人が殺されました。」
俺:「(『イクラ人』って…なんか気持ち悪いな…)」
学生:「私は『イクラ』に生まれず、『中国』に生まれた事を 幸せに思います。」
俺:「(『イクラ』に生まれたら…生まれる前に食われちゃう からな…)」
学生:「しかし、イクラは…」

 ここまで発表聞いて、ふと他の学生を見てみました。みんな 彼の発表を真剣に聞いていました。自分は考えました。
(今まで俺は『Iraq(イラク)』という国名だと思い込んでい たけど、本当は『Iqra(イクラ)』なんじゃないのだろうか? )
と…。それと同時に
(今まですし屋で『いくら』と頼んでいたものは、本当は『い らく』の間違いで、その間違いを誰にも指摘されずに24年間 生きてきたのではないだろうか。)
とも考えました。
家に帰ってから、慌てて辞書を引きました。『角川最新国語辞 典』にはこう記されていました。

イクラ=サケの卵を塩漬けにした食品。
イラク=アジア大陸の西南部、チグリス・ユーフラテス川の流 域にある共和国。

後日、そのクラスでの授業で『いくら』と『イラク』は全然別 物なんだよって教えてあげました。


第32話 トモダチ   
 オーディンのコラムに新たな刺客が…。「宮田知之」今回は 彼について少し書きたいと思います。
奴との出会いは今から5年8ヶ月前、大学入学直後の健康診 断でした。入学したばかりなので、もちろん友達はいません。 黙って、自分の順番を待ってます。でも、周りを見渡すと何人 かの学生はすでに「友」を見つけている模様。楽しそうに会話 をしながら列に並んでいました。

俺:(やばい…このままでは俺の大学生活が…)

ちょっと焦りながら、話しやすそうな奴を探しました。まずは 、隣に立ってる奴を観察。髪はまだらな茶色、明らかに自分で 脱色して失敗しちゃったって感じ。世の中に不満があるらしく 、常にため息をついていました。

俺:(こいつはパスだな。)

と、思った瞬間

まだら茶髪:「おまえ、学部どこたい?」
どこたい!タイ?彼は留学生でしょうか?

まだら茶髪:「俺の名は『宮田知之』。熊本の男ばい。」
熊本…県名は知ってるけど、自分には遠い国でした。

宮田:「森高千里知っとーと?あいつも熊本たい。」
…いきなりお国自慢です。まぁ、一人で健康診断回るよりまし かなって思い、宮田と回る事にしました。健康診断終了後…

宮田:「お前の家ば見たいっちゃ。行ってもよかと?」 (おいおい、必死だな)と思いつつ家に案内して、ちょっと遊 んでからバイバイしました。
 それから一週間後、自分はアメフト部に入部して、それなり に友達もできました。その日は土曜日だったので、午後から部 活へ行く準備をしていました。その時、突然家のチャイムがな りました。宮田でした。

宮田:「(涙目で)俺の事、おぼえとーと?学内でいっこも会 わんのやもん…。」
(必死だな…こいつ)

その後、一緒にアメフトやりはじめて、宮田はフリーセーフテ ィー、俺はテールバックとお互い対照的なポジションで4年間 楽しく過ごしました。 宮田とは、こんな奴です。


第31話 AMERICAN   
 先日、ついに念願の「タッチフットチーム」が誕生しました 。っつっても、まだ一回しかゲームしてないんだけど…。男女 混合の多国籍チーム。国籍はアメリカ、オーストラリア、韓国 、日本。俺のポジションはスロットバック兼フリーセーフティ 。QBアメリカ人でアメフト経験者。

QB「Hey!Takumi!!Huddl!Huddl!」

さすが本場!発音は本物!!感動しました!ハドル内で

QB「ペラペラペラペラ(←聞き取れず…Ready,Break!!」

何のプレイなのかわかんなかったけど感動しました!で、調子 に乗ってモーションしてみました。

コーナーバック「Check!Motion man!Check!Motion man!」

コーナー、俺のこと指差しながらついてきました!感動しまし た!で、QBが

QB「Blue36! Blue36! Set Hike Hike!」

 発音本物だし、なんのプレイかわかんないし、スロット(← 俺なんだけど)勝手にモーションしちゃってるし、もうわけわ かんないんだけど、泣きそうになるぐらいうれしくて、全速力 でポスト走りました。そしたら、俺んとこにパスきちゃいまし た。なんとかキャッチして走り出そうとしたら、フリーセーフ ティ(←デニス、アメリカ人、元消防士、身長190cm)が 目の前に…。思わずニーダウンしちゃ いました…。ヘタレです…。
 これから、また楽しくなりそうです。


第30話 長老  
 いきなりですが11月23日、自分の誕生日でした。なんだ かあっというまに干支を2週してしまったような気がします。  去年までここで仕事してた年配のある先生、自分と同じ干支 だったんです。若い人と話をするのが好きだそうで、よく部屋 に呼んでくださってご自慢の手料理をご馳走してくださいまし た。
 その先生、すごいんです。なにがすごいって、人生経験が半 端じゃない。戦時中、北朝鮮で生まれて終戦後日本へ帰国。大 学卒業後「伊藤忠商事」へ入社。商社マンとして世界各国を飛 び回ってたらしく英語はもちろん中国語もペラペラ。世界のい ろんな話をしてくれました。自分ら陰で(長老)って呼んでま した。長老の話の中で特に興味をそそられたのが、湾岸戦争中 にイラクへ駐在していた時の話。家に爆弾が降ってきたそうで す。

「家の屋根にね、穴があいたんだよ。あれにはびっくりしたな ぁ。」
「家の外でね、パンパン爆竹みたいな音がしたんですよ。後で 聞いたら戦闘中だったんだって。実弾だったんだね。危なかっ たなぁ。」

その後、日本から特別機が迎えに来て、それに乗って帰ったそ うですがその時の話もスゴイ。

「機長がね、挨拶に来たんだけど、そいつ高校の時の同級生だ ったんだよ。いやぁ、びっくりしたね。」

なんか、かっこいいですよね。「グッド・ラック!」みたいな 。 
 でもその先生、すぐ行方不明になっちゃうんです。すっげぇ 旅行好きで、金曜日の午後旅に出て日曜日の夜帰ってきたり。 しかも、電車で…。冬なんか

「寒いんで、ちょっと南へ行ってきます」

っつって、電車で丸一日かけて南へ…。2日後の夜帰ってきて 、その次の日朝から授業…バイタリティが違います。

俺:「ひつじどしってことは…失礼ですが、今年で59歳にな られるんですか?」
長老:「ははは、もう一回り上だよ。」

長老には、今「上海」に愛人が一人いるらしいです…。


第29話 欧米的食生活  
 最近、自分の食生活が変わりました。以前は外食中心だった んですが、今はほとんど毎日自分で作ってます。近所にすげぇ スーパーが新しくできたんです。その名も「METRO(メト ロ)」中国語では「麦徳龍(マイ・ドゥー・ロン)」っつーん ですけど。なにがすげぇって、ドイツ系のスーパーで普通の人 は入れないんです。入れるのは一部の上流階級の人、業者、外 国人のみ。専用のカードがあって、そのカード作るのもパスポ ートや身分証明書などが必要で、結構面倒くさい上に意外と審 査が厳しいんです。その為、店内は無駄に広いわりにガラガラ 。平日の夜なんて店員の人数の方が多いくらい。置いてある商 品は、外国製と中国製もしくは海外輸出用の中国製が半々ぐら い。だから売ってるものの質がかなりいい。しかも、基本的に は卸問屋なんで値段も安いし新鮮。店内の肉屋は冷凍室になっ てて、皮剥がれた牛が一頭、天井から吊るされてるんです…。 しかも、肉屋二つあって一つは普通の肉屋。もう一つはイスラ ム教専用の肉屋。店の前に店員が立っててうっかり買い物カゴ に豚肉入れたまま入ろうとするとものすごく怒られるんです。 (一回やっちゃったんだけど…)
 最近はパスタにはまってて、ほとんど米は食ってません。パ スタも種類が豊富で、一番細い「カッペリーニ」、クリーム系 のソースと相性がいい「フェットチーネ」、ペンの先みたいな 形の「ペンネ」などなど…。しかも全部イタリア製。歯ごたえ が違います。

 ちなみに今日の自分の飯
朝:ムーズリー(ドライフルーツのシリアル)、エスプレッソ コーヒー
昼:ゴーダチーズのベーコンサンド(ピクルス入り)。
夜:カルボナーラ(ソースは手作り)、チーズとトマトのオー ブン焼き。

 漢字ばっかの食生活から、片仮名ばっかの食生活に変わっち ゃいました。しかも、この前間違って「ゴーダチーズ(オラン ダ産の黄色くてデカくて丸いチーズ)」を丸々1個(5キロ) 買ってしまったので、この食生活は当分続きそうです…。
 「5キロのチーズ」がイマイチ想像できない方は今度スーパ ーに売ってるチーズのグラムを見てみてください。だいたいの 大きさが想像つくと思います…。


第28話 妊婦の気持ち  
 ここ西安外国語学院は、外国語大学だけあって学内で海外の 国営放送が普通に見られるんです。アメリカ、イギリスはもち ろん、スペイン、イタリア、ドイツの番組まで。日本のNHK も見られます。
 俺の学生で一人、NHKの「毎日スクスク」とゆー番組に興 味を持った学生がいるんです。すっげぇ真面目な男の子。「毎 日スクスク」って、妊娠中の妊婦から3歳児ぐらいまでの育児 についての情報番組。
なぜ、その学生がその番組に興味を持ったかってゆーと、そ の番組のメインのおじさんが幼児教育の権威らしくて、職業柄 かすっごく聞き取りやすい日本語を話すんです。ゆっくり、子 供にも分かるような話し方。その学生、その番組の中で出てき た分からない日本語をノートにまとめて、2週間に一回ぐらい 俺のところに聞きに来るんです。そのノートに書かれてた、彼 の分からない言葉…

1、三人よれば文殊の知恵
2、試験管ベイビー
3、育児ノイローゼ
4、ラマーズ法
5、マタニティ・ブルー

 初級後半の学習者にこれらの単語をどのように説明するか。 そんなの、どの日本語教育マニュアルにも載っていません…こ れは、おそらく神が俺に与えた試練なのでしょう。
 でも、教えてるうちに俺も夢中になっちゃって

俺:「ほら、こうやって『ヒィ、ヒィ、フゥー。ヒィ、ヒィ、 フゥー。』って」
学生:「『ヒィ、ヒィ、フゥー』こうですか?」
俺:「そうそう!『ヒィ、ヒィ、フゥー』」
学生:「ヒィ、ヒィ、フゥー。」

…そのクラス、日本人俺だけでよかったです。


第25・26・27話 
西安事件   
第25話 西安事件T〜事の始まり〜
 10月29日夜、西北大学で文化祭が開かれました。皆さん もすでにご存知だとは思いますが、日本人留学生による「踊り 」が披露されました。10月30日午後、西北大学の留学生の 宿舎が学生によって包囲されました。西北大学には同じ文教の 先輩がいたので心配になり、夜電話をしました。
その電話口から聞こえたのは、千人近くの学生が歌う「中国国 歌」でした。その夜、西北大学の学生がここ外院にも乗り込ん できて、日本人留学生が踊った踊りについての嘘のビラ(デマ )を撒き散らして帰りました。
 10月31日朝、外院は物々しい雰囲気に包まれました。自 分たちの宿舎から学校まで護衛がつき、自分の授業の前には中 国人の先生が今回の件について簡単に中国語で説明しました。 その日、自分の授業はたまたま一コマだったんですが、学生の 目は明らかにいつもと違いました。
「今回の西北大学の件について、先生はどう思いますか。」
いつもは友好的な学生も、この日ばかりはけんか腰。
「まだ正確な情報が入ってきていないので、何も言えません。 」
と言ったものの、その日は学生の目を見て授業できませんでし た。自分が一年間かけて築き上げてきた学生との信頼関係が、 音を立てて崩壊してゆくような気がしました。
 ため息ついて帰ったら外事所の通訳から電話がきました。
「先生、一歩も部屋から出ないでください。」
西北大学で蜂起した1000人近くのデモ隊が外院まで来てい るとのことでした。デモ隊のターゲットは俺ら日本人教師と留 学生。その後、自分を気遣ってくれた学生から何本か電話があ りました。その学生の情報によると、正門で外院の学生とデモ 隊が衝突しているとのこと。

事態は予想以上に深刻でした。
第26話 西安事件U〜翌日〜
デモ隊が帰った後、詳しい状況を聞きました。先頭に立って 正門を死守した日本語学部の学生数名が打撲などの軽傷を負っ たそうです。
 次の日、土曜日だったんですが陝西省の教育庁が、学生の決 起を懸念して西安市内の全大学で授業が行われました。自分は 朝から憂鬱。別に俺が悪いわけじゃないけど、今回の騒ぎで学 生が怪我したって聞いて、どの面下げて授業すればいいものか …。しかも、その日の授業は昨日けんか腰だった クラス。気落ちしながら教室のドアを開けました。そしたら学 生の一人が
「先生、昨日はすみませんでした。」って。
話し聞いたら学生に正しい情報が学校側から入ったらしく、自 分たちの情報がデマだったってわかったそうです。学生たちは 普通に接してくれたんですが、自分がどうも立ち直れなくて。 無理してでも明るく振舞うべきだったんだろうけど、学生の怪 我の事や日本語学部が他の学部から嫌がらせを受けていること なんかを聞いてたから、なんかすっげぇ申し訳なくて。今まで の授業の中で、最低のテンションでした。
 その日、午後は授業がなかったので、部屋でボーっと放心状 態でいたら、別のクラスのある女の子から電話がきました。自 分の様子を午前中のクラスの学生から聞いたそうです。
その子の名前を仮に「アゲハ」とします。自分が大好きな映画 の主人公にちょっと似てるから。
 アゲハ、電話口で泣いてるんです。で、今から会って話がし たいって。クラスの中でもそんなに目立つ子じゃないし、自分 の中ではクールな女の子ってイメージだったからちょっとビッ クリしました。
 それからアゲハと2時間ほど話をしました。
第27話 西安事件V〜リンゴ〜
 話の内容は今回の事件からアゲハの身の上話まで。時々辞書 を引きながら一生懸命話してくれました。彼氏が西北大学にい ることや、自分の家の事など。彼氏はアゲハと同様にかなりク ールな男らしく、デモも「馬鹿馬鹿しい」って言って参加しな かったそうです。
 アゲハは一人っ子で母子家庭、生まれた時から父親はいない らしく、母親は医者で、いつもあちこちの病院を飛び回ってい て小さい頃から母親との思い出があまりないそうです。今回の 件について、母親はかなり心配しているらしく、毎晩電話がか かってくるそうです。
 アゲハは持ってた袋からリンゴを出して、自分に言いました 。
「私が小さかった時、母は仕事に行く前に私に必ずリンゴを持 たせました。リンゴがそばにあると、私はとてもおとなしくな ったそうです。だから、私は今でも悲しい事があった時には必 ずリンゴを買ってきて自分のそばに置きます。先生も、悲しい 事があったらリンゴをそばに置いてください。」
と言ってリンゴをくれました。まじで、泣きそうになりました 。
次の日、日曜日だったけどまた授業。一時間目はアゲハ達のク ラス。気合入れて教室に入っていきました。アゲハは一番前の 席でいつもと変わらない様子。学生もいつも通りで。楽しく授 業ができました。

が、授業終了20分前、アゲハが突然席を立って
「先生…。」
って言った瞬間倒れてしまいました。
精神的なストレス+風邪気味で、ほとんど飯を食ってなかった そうです。学生に病院へ連れて行かせて自分は授業へ。終わっ てからあわてて病院へ行ったら、ちょうどアゲハが出てくると ころでした。点滴打ったら元気になったって。
ほっとしたけど、なんか無性に腹が立ちました。
俺は日本人だから、今街歩いてていきなり中国人に殴られたと しても、それは仕方ないと思う。まぁ、それも間違ってるんだ けど。でも、アゲハや日本語学部の学生がなんでこんな被害を 受けなくてはいけないのか。
 今回の事、日本でどんな報道されてるのかはわからないけど 、アゲハみたいな学生がいるってゆーことだけでも知っておい てください。


第24話 微妙な日本語  
学生:「先生、日本人は自己紹介の時に『○○(←学生の名前 )見参!』と言いますか?」
俺:「う〜ん…ごく一部の限られた人間だけかな…。」
学生:「私も使っていいですか?」
俺:「使ってもいいけど、俺の学生だって言わないでね。」

日本のアニメ・ドラマの影響だと思うんですが、最近こーゆー 発言が増えています。

学生:「先生、同情するならお金をください。」
俺:「同情しないし…丁寧に言ってもだめだよ…。」

 「〜あげる」を使って例文を作りなさい。
学生:「地獄を見せてあげる。」
俺:「…使い方はOK。あとは使うシチュエーションだな…。 」

学生:「先生、私と先生は『友達以上、恋人未満』ですか?」
俺:「俺たちそんなに進展してたの?」

最後にはこんな発言…

学生:「先生!来週から学校が一週間休みだそうです!」 俺:「うそ!本当に!?」
学生一同:「うっそぴょ〜ん!」

後で聞いた話、ある授業の視聴覚教材に「一つ屋根の下」と「 家なき子」が使われているそうです。せめて「北の国から」と かにして欲しかっです…。まぁ、ネタが増えるから自分として はオッケー なんですけどね。


第23話 弁論大会 
 西安で年一回行われるビッグ・イベントの一つ「陝西省日本 語弁論大会」参加校はうち「西安外国語学院」をはじめ、日本 語学部を有する中国屈指の名門「西安交通大学」、同じく名門 「西北大学」。それから専科の部(専門学校)ではうちの夜間 部ともう一つの学校。3位までが入賞で大会の優勝者には1週 間の京都旅行がプレゼントされます。うちの大学、去年は交通 大学にボコボコにされて入賞者なしでした…。今年は本校開催 とゆーこともあり、かなり熱のこもった指導をしました。日本 語の発音・アクセントはもちろん、弁論内容の吟味からイント ネーション、抑揚のつけ方まで。一人の選手に対して一人の教 師という「完全マンツーマン指導」のもとに、約1ヶ月間みっ ちり指導してきました。自分の担当は本科生一人と専科生一人 。かなり優秀な学生だったので「二人とも優勝しちゃったら申 し訳ないな…。」なんて思いながら納得いくまで指導していき ました。
 弁論大会当日、まず専科の俺の学生の弁論。我ながら文句の つけようがない素晴らしい弁論をやってくれちゃいました♪続 いて本科の学生、かなりうまく弁論できたと思ったんですが… 交通大学の学生がうますぎました…。「あいつ、日本人だろ! !」ってぐらい完璧なスピーチ…。名門の意地ですね。  結果は…専科の学生は俺の学生が優勝!!しかし、本科は… 優勝は交通大学。うちの学生は入賞者なし…2年連続で…開催 校なのに…。
 学生に対する思い入れが強かった分、かなりショックでした 。大学4年のとき江戸川大学に負けた時と同じくらい。本当に ショックでそれから3日間ぐらい、まともに飯が食えませんで した。

 来年、優勝する為には何をすればいいか。ここんとこ、ずー っと会議です。明日もまた会議。まじで悔しいです。


第22話 ラジオ体操
 中国の大学には、日本の大学にはない一大イベントがありま す。それは、「軍事訓練」。入学したての一年生が軍服来て、 軍人さんに指導されて行進や隊列の編成の仕方などを練習しま す。しかし、うちの大学は学生の80%が女の子なので、軍服 を着た本格的な軍事訓練はしませんが、行進、隊列 までは他大学と同様に練習します。その後、何故かみんなで体 操をして終了…。体操も、日本で言うところのラジオ体操みた いなやつ。で、今週の金曜日にその「学部対抗軍事ラジオ体操 訓練大会」なるものが開催されるそうなんです。その練習がま たすごいんです。まず、大会1ヶ月前ぐらいから練習が始まり ます。そんで2週間前から学内に軍人が入って休日返上で朝6 時から夜11時ぐらいまで猛練習…。朝練して、授業。昼飯食 って練習して授業。練習して晩飯食って練習…。
「法政のアメフト部でも、こんなに練習しねーだろ!?」
ってぐらい朝から晩まで「一!二!三!四!(イー、アー、サ ン、スー)」って大声で練習してます。
 去年、体操大会の本番見たんですが、なかなか迫力がありま した。何百人もの学生が同時に同じ動き をする、まさに「マスゲーム」でしたね。

「社会主義」と「マスゲーム」…。この二つには、何か深い関 係があるのかもしれません…。


第21話 使ってはいけない日本語
いきなりですが、日本語って本当に難しいです。使い方ひと つで一気に相手を不快にさせる魔の言語。
俺:「○○と××があるんですが、どちらがいいですか?」
学生1:「どちらでもいいです。」
学生2:「先生の好きなほうでいいです。」
学生3:「どーでもいいです。」

学生3は間違いではないんだけど、ちょっとむかつきますね。

俺:「じゃあ、来週は教科書を使いません。なにかやりたいこ とはありますか?」
学生1:「ビデオを観たいです!」
学生2:「ゲームをしたいです!」
学生3:「先生は何がしたいんですか?」

学生3に対して「うるせぇよ!」と心の中でシャウトしちゃい ました。

俺:「時間が余っちゃいましたね。どうしますか?」
学生1:「先生、なにか話をしてください。」
学生2:「日本の歌をうたってください。」
学生3:「踊りを踊ってください。」

「お前が踊れ。」って感じですね。

でも、不思議なことに以上の会話を中国語や英語に翻訳すると 、すこぶる自然な会話になるんですね。 踊りを踊るってことも、中国じゃ歌をうたうくらい普通なこと らしいです…。
怖いですね、日本語って。


第20話 俺が日本語教師なわけ
 さて、この連載もかれこれ20回目を超えました。そこで今 回は「自分が日本語教師を目指した理由」について書きたいと 思います。この職業を知ったのは高校2年生の時でした。その 時は「獣医師志望」だったのでたいして興味を惹かれなかった のですが…(ちなみにその後の生物の授業中、鯉の解剖を見て あさり諦めました。)本格的に「日本語教師になろう!」って 思ったのは大学3年の時の「ニュージ ーランド研修」。その時は「海外旅行できて単位もらえるなん てラッキーじゃん」なんて軽い気持ちで参加しました。今どう かわからないけど、その当時はNZ研修行くやつ少なくて 「このままじゃ、今年は中止かも。」なんて囁かれるほどでし た。現地では一人一人別々の高校に派遣されて、1ヶ月間日本 語の授業のサポートやらされて、最後に一人で授業をします。 はじめは「外人相手にどうしたらいいんだよ!!」みたいな感 じだったけど、そんな思いも初めのうちだけ。慣れれば「なん だ、普通の高校生じゃん」みたいな。「ヘイ!ミスターコボー リ!」なんて呼ばれて、わかんねーとこ教えてあげたりして。 みんな小生意気だけど、基本的にはピュアでいいやつばっかり 。将棋盤持ってきて「教えて」とか言って来るやつもいたりし て。一番感動したのが、あたりまえだけど、俺の授業のとき俺 の質問に俺が教えた日本語で学生が答えた瞬間。「あぁ、こい つわかってんじゃん!」みたいな。その時ですね、日本語教師 になろうって思ったのは。
 NZの街はものすごく綺麗で、海なんか1時間ボケーっとみて ても飽きないくらい。人もおおらかで、便所で横に並んだ おっさんですら俺が日本人だってお構いなしに英語で話しかけ てくるし。日本じゃ自分の横に外人並んでも日本語で話しかけ たりしないいでしょ?
 もし、このコラム読んでくださってる方で日本語教師とNZ研 修興味ある方は、是非参加してみてください。マジで価値観変 わりますよ。


第19話 「優しさ」成分
 なんか寒い…っつーか通常の「寒い」って感覚じゃない!体 の内側から寒い!!!案の定、発熱しました。38度っす。愛 用の「新ルル」飲んで寝ました。次の日、38.5度…仕方な く学校に電話して「誠に不本意ながら、今日の授業は休ませて いただきます。」と伝えて寝ました。(一日寝ればなおるだろ 。俺、まだ若いし…)日本人の先生方も心配してくださって、 お粥やコーラやリンゴを持ってきてくれました。「遠くの親戚 より、近くの他人」まさにそんな感じです。食欲なかったけど 、無理やり胃に押し込んで、電光石火の「新ルル」。そいで爆 睡…。しかし、熱はフィーバーしっぱなし。夜にはついに39 .5度…。「俺、このまま死ぬのかな…。」風邪ひいて、すっ げぇ熱出ると人って弱くなり ますよね。結局「新ルル」もまったく効かず、頭が割れるよう に痛かったので最終兵器(自分の中で)の「バッファリン」を 投入しました。解熱・鎮痛効果でなんとか寝ることができまし た。次の日の朝、38.5度…。また、学校に電話入れて「バ ッファリン」飲んで寝ました。もう頭の中は、すごく抽象的だ けど「よしもとばなな」の小説の世界。だるくて絶望的なんだ けど、「優しさ」に満ち溢れているような…。「この世界で生 きるのも、悪くないな。」なんて思っていたら夜にはすっかり 熱が下がってしまい、次の日から通常通り授業することができ ました。
「バッファリンの半分は『優しさ』でできている。」
案外、本当なのかもしれません。


第18話 パン男 
 8月26日、西安に無事到着しました。日本で過ごした2ヶ 月があっという間に感じられました。それから5日間の急速の 後いざ授業へ。教室へ入るや否や学生から「ミェァン パオ! ミェァン パオ!」の声が…。

直訳すると
「パン野郎!パン野郎!」

もっと訳すと

「デブ!デブ!」…。

日本での2ヶ月間で10キロ太りました…。今思うと確かに食 ってたなぁって。だって、おいしかったんだもん。日本食…。 「ああ、俺は『パン野郎』さ。笑いたけりゃ笑うがいい!」 と逆ギレ状態で授業しました。初日の授業ということで、まず は軽く「夏休みの思い出を語ろう!」というテーマで授業しま した。まずは俺が日本での夏休みを語って、それから学生が自 分らの夏休みについて話すとゆー「いかにも初日の授業にあり がち」なベタな内容っす。「日本語、忘れてんだろうなぁ。」 という予想に反して、みんな流暢な日本語で話してくれました 。

学生:「夏休みにアルバイトで中学生に英語とスイカを教えま した。」
俺:「そうそう、スイカね。主に砂地で作られて、有名な原産 地は熊本…って『スイカ』じゃなくて『数学』だろ!」
今学期は「ノリツッコミ」にも挑戦していきたいと


第17話 帰国 
6月30日未明、飛行機出発まであと8時間…。

学生:「先生!今寝たら起きられません!頑張ってください! 」
俺:「っつーかお前ら何時までいるんだよ!早く帰って寝ろ! 」
学生:「いえ、もう門限過ぎてるんで寮に入れません…。」

オールナイトっす。結局そのまま飛行機に乗りました。西安→ 上海→成田。飛行機はガラガラ。成田到着まで4回ぐらい体温 測られて、3回ぐらい問診表書かされました。

質問1:「14日以内にSARS患者と接触しましたか?」
してるわけねーだろ…。
質問2:「今、熱はありますか?」
さっき測ったじゃん…。
質問3:「今、解熱剤を服用してますか?」
服用してても書かねーよ…。

成田の入国審査で爆笑!「いかにも!」ってマスク付けて、こ のクソ暑いのに防護服着てるお医者さん達。

医者:「上海からご搭乗のお客様の中で、『自分はSARSか な?』と思われる方はこちらにお並びください。」

いねーだろ…。もし、いたとしても並ばねーだろ…。

そんなわけで、なんとか帰国できました。これから約2ヶ月、 日本を満喫します。もし、街でみかけたら気軽に声をかけてく ださい♪


第16話 期末試験 
 期末テスト終了。ついでに採点も終了。期末テストのお題「 俺と会話をしやがれ!」ってことで、一人ずつ面接形式で 試験しました。まず、俺が質問して、それから俺に対して質問 するってテスト。4分以内、日本語以外の使用は一切禁止。俺 に対する質問はなんでもOK。
 俺の期待を裏切らない、素敵な答えがたくさん返ってきまし た。

俺:「今日は誰と一緒に朝ごはんを食べましたか?」
学生:「牛乳と一緒にご飯を食べました。」
俺:「なにか悩み事があるのか?」


学生(女の子):「先生は木村拓哉に似ていますね。」
俺:「そんなことないだろ(_〆ヾ(* ̄(エ) ̄*)ポッ+5点) 」

俺:「大学を卒業したら、何をしたいですか?」
学生(真面目な男の子):「たくさん勉強して偉くなって、キ レイな女の人をたくさん自分の周りに置きたいです。 ( ̄ー ̄)ニヤリッ」
俺:「ヾ(・ε・。)ォィォィ…。」

俺:「旅行するなら、誰と一緒にしたいですか?」
学生:「元カレと…。」
俺:「せつないな…。」

 こいつら、2ヶ月間の夏休みで日本語忘れてなければいいん ですが…。来年、自分は持ち上がり決定しました。気合入れて 頑張ります。


第15話 アメフト宣教師
 「先生、アメフトを教えてください。」2年生の日本語学部 体育部長から衝撃的な一言が…。中国でも南の方は内陸部より 経済が発展していて、それに伴い海外の色々なスポーツが入っ てくるらしいんです。アメフトもそのうちの一つ。実際、俺も 今年のスーパーボウルは中国で観戦できました。スーパーボウ ルだけでなくプレイオフ全試合とカレッジの試合も見ることが できました。西安外国語学院のアメフト部設立(フラッグフッ トね)は以前アメリカ人の先生からも持ちかけられたのですが 、SARS騒ぎでそれどこじゃなくなってしまっていました。 (中国でアメフト部設立…もしかして俺、『プロジェクトX』 とかにでちゃうんじゃねぇ?)なんて軟派なことを考えつつ学 生にフラッグフットの説明をしてみました。中国の学生という のは正直なもので、ちょっと話し聞いて「あぁ、つまんねぇな 」って感じたら露骨に態度に出るんです。しかし、俺の説明を 聞く彼らの瞳は明らかにマジ!!その日は一緒に飯食いながら だったので、アメフトの概要とポジションの説明で終わりまし た。その後も学生からたくさん質問されました。

学生:「先生、防具は必要ですよね?」
俺:「フラッグフットはいらないよ。」
学生:「有名なイチロー選手のポジションはどこですか?」
俺:「…外野じゃん?」
学生:「バットはどこで買えばいいですか?」
俺:「野球のことは忘れろ!!」

来学期からまた、面白くなりそうです。


第14話 学期末
 今学期は6月17日で終わりです。本当は20日まであるは ずだったのですが、学院長が「なんか、最近暑いし今学期はも う17日まででよくねぇ?」って話があったのかどうかは定か ではありませんが、昨日発表されました…。っつーことで、明 日(12日・木曜日)授業して、その後は期末試験で終わりで す。俺の授業は「会話」だから、試験も会話。
俺が一人ずつ面接形式で質問して、質問させて、発音・文法・ 語彙・俺への忠誠心(もちろんウソ)を考慮して点数を つけます。
 1年間振り返ってみて、やっぱ教師って大変だなって改めて 思いました。毎回授業作って、その授業が予想以上にうまくい くこともあれば、全然学生がついてこないときもあり、学生に 助けられることもあれば、学生のテンションの低さに絶望する ことも多々ありました。
 今の俺が目指してるのは「学生と一緒につくる授業」。基本 的には教案をもとに進めていくんですが、学生の発言は必ず授 業に取り入れるようにしてます。だから、学生がやたら喋るク ラスは教案は全然進まないけど、授業は充実してるし学生も話 せる。逆に学生の発言が極端に少ないクラスは進むの早いけど 、機械的に授業やってて面白味に欠けるし、学生もあんまり話 せない。「このままじゃ、やべぇな…。」と思い、無理矢理テ ンション上げて授業したら初めは学生も「おい、小堀壊れちゃ ったよ…。」みたいな目で見てたけど、最近はガンガン授業に 参加してくるようになりました。
 来学期は今の1年生を、今以上に俺色に染めたいと思います 。


第13話 適当大国
 6月4日、学校側から衝撃の一言が…(以下、発言は全て日 本語です)
学部主任:「えー、卒論の締め切りは6月6日に決まりました 。」

さて、どうつっこみましょうか…。「明後日かよ!」もしくわ 「まだ決まってなかったのかよ!」が妥当なところでしょう。 っつーか学生100%終わんねーじゃん…卒業できねーじゃん …。どうするつもりなんでしょう…。

さらに衝撃的な発言は続きます。
学部主任:「4年生の卒業式なんですが、日時・場所・式の形 式については現段階では未定です。」

おかしいだろ…。っつーかちゃんと祝ってやろうぜ…。

学部主任:「夏休みは7月4日からですが、日本人の先生方は 宿舎改築があるため6月30日までに帰ってください。」

JAS、7月になんなきゃ動かねーよ…。

学部主任:「最後に学校中央の掲示板に本学院からSARS患 者がでたとの通知が貼ってありましたが、多分ウソです。」

もう、何がなんだかわかりません…。なんで学校の中央掲示板 にそんなウソ貼りだすのか、卒業式はいつなのか、俺は いつ日本に帰れるのか、そして4年生は卒業できるのか…。恐 るべき、中国の大学!俺、本当に日本人でよかったです。


第12話 食文化く
 夏です。バリバリ暑いです。毎日余裕で30℃越しちゃって ます。大変個人的なことですが、最近めちゃめちゃ日本食 が食いたいっす。日本食っつっても、学食のA定とか吉牛の並 ツユダク卵とか天狗ラーメンの塩背油入りとか…。学生も日本 食には興味津々で「すき焼きについて教えてください。」とか 言ってくるから、ヨダレ垂らしながら(っつっても本当に垂ら してるわけではなく)教えてます。
俺:「生卵つけて食うと最高なんだよね。」
学生:「卵を生で食べるんですか!!!」
俺:「ご飯にかけたり、牛丼にかけたりするよ。」
学生:「野蛮です!」

俺的にちょっと気分を害したので、話しやめて授業を進めまし た。しばらくして、また脱線しちゃってカブトムシの話になっ たとき。

俺:「カブトムシって知ってる?角がはえてて黒くてかっこい い虫。」
学生:「(辞書を引いて)あぁ、中国にもたくさんいますよ。 」
俺:「小学生の頃、よく捕まえて遊んだんだよね。」

って言ったら、クラスでもおとなしくて比較的優等生タイプの 女の子が

女の子:「おいしいですか?」
俺:「食わねーよ!!」
こいつらに野蛮って言われた俺って一体…。


第11話 野球
学生:「先生、日本での挨拶はいつも『おはようございます』 なんですか?」
俺:「…それバイトだけだよ!」

相変わらず、突っ込んでおります。今まで大抵の質問は乗り切 って来ましたが、今日の1年生の質問はちょっと苦労しました 。質問自体はスコブル簡単。
学生:「野球のルールを教えてください。」

 中国に「野球」というスポーツは存在しません。全く野球を 知らない日本語初級学習者に「野球」を説明する。いままでに ない難しい問題です。
俺:「投げて打って走るんだよ。」
学生:「…誰が投げて誰が打って誰がどこに走るんですか?」
 …30分頑張って説明したけど、結局理解してもらえませんで した。サッカーは所定のゴールに蹴ってボールを入れれば点が 入り、バスケは籠に入れれば点が入る。じゃあ野球は?うーん …、ホームラン?違うな…。そう考えると野球って意外と複雑 なスポーツですよね。
 そんなこんなで一人で頭をひねってたら 、ある学生が俺に一言。
学生:「先生、野球と野球拳は同じですか?」
俺:「なんで野球拳は知ってんだよ!」

天然ボケには勝てないっす。


第10話 卒業論文
 もうすぐ4年生は卒業です。それで、今は卒論の追い込み。 「はぁ、卒論かぁ…懐かしいなぁ。」なんて感傷に浸ってる暇 もなく、学生の卒論を指導してます。俺、この前卒論書いたば っかなのに、今はちゃっかり「指導教官」なんて肩書きを背負 っちゃってます。でも、実際はそんなカッコイイものじゃなく て、卒論のテーマ決めて、その資料集め手伝って、論文書かせ て、誤字脱字や文法のミスをチェックするとゆー地味な作業を こなしてます。4年間日本語を勉強した学生はそれなりに日本 語を話せるのですが、やはり外国語。日本語で論文を書くなん て、日文の学生ですら難しいのにそれを中国人の学生にやらせ るのは…。しかも、彼らはレポートすら書いたことがない学生 、論文の書き方を1から教えなきゃなんです。「まず、序論で 研究動機を書いて…」みたいな。
「先生!論文書けました!」読んでみたら、全部どっかの本か らのパクリ…。「これじゃね、著作権に触れるから…」 っつっても理解してくんないし…。そんなやつに限って、この 時期に慌てて俺のとこに駆け込んでくるから、もう大変!

学生:「先生、論文のテーマ変えたいんですが…いいですか? 」
俺: 「あなたはいつ卒業するつもりなの?」

今思うと、俺もゼミの先生にこんな感じに見られてたのかなぁ って…。
みんなも卒論は計画的にね♪


第9話 たまちゃんとサスケと私
 5月4日、西安→成田最終直行便が飛び立ち、多くの日本人 留学生が中国を脱出しました。俺は結局、7月まで残ることに 決めました。色々考えたけど、自分が初めて受け持った学生を 置いて帰ることはできなかったっす。きっちりケジメつけてか ら帰ります。非常事態も1ヶ月続けば日常です。感染者も今の ところ増えてないし(うちの省では)学生も元気だし、明日バ スケの試合だし…。
 今日の授業で学生からこんな質問を受けました。

学生:「先生、今中国はSARSで大変ですが、日本で一番大 きなニュースはなんですか?」
俺:「アザラシの右目の上に釣り針が刺さってるらしいよ。」
学生:「??そのアザラシはどうなりましたか?」
俺:「ひなたぼっこして、のんびりしてるらしいよ。」
学生:「他に何かありますか?」
俺:「覆面被った国会議員が政治してるらしいよ。」
学生:「…先生…本当は日本へ帰りたいんじゃないですか?
俺: 「…うるせぇよ!!」

明日の試合、頑張ります…。


第8話 新型肺炎の恐怖
 前回の話から一週間、状況は一気に変わりました。悪い方へ …。陝西省からのSARS患者は昨日の時点で8人。中国脱出を決 定した外国人教師は14名、遅くとも来週末には帰国だそうで す。よく勉強会してた近所の大学からも発症者がでたため、そ の大学への入校は一切禁止。うちの大学も今日の午前、外部か らの入校を禁止&学内居住者の外出を特別な場合(緊急の帰省 もしくは帰国)を除いて一切禁止となりました。まさに異常事 態です。
 もちろん、「SARSなんて怖くねーよ!」っつって残る先 生方もおられるのですが、周りの状況を見てるとやっぱ怖いっ す。SARS自体の怖さっつーのもあるけど、それ以上に怖い のが「噂」。「外国人が感染した場合、誰も知らない特別な場 所に隔離されるらしい。」とか、「実際、この学校にも発症者 がでているが、学校側が隠してる。」とか…。日本にいれば「 そんなわけねーだろ!?」って言えるんだけど、なにぶん外部 からの情報がなかなか入ってこないため、嘘だとわかっていて も「え!?マジ!???」って思ってしまうんです。ネットは すぐ止まるし、CNN・BBCは外国人発症者が減ってるから ニュースとして大きくとりあげられないし、中国のテレビ局は 「没問題!」って3ヶ月前からずーっと言ってるし、NHKは 「越谷にたまちゃん!?」で大忙しだし…。

「日本へ帰国」マジで考えてます。もちろん「一時帰国」。た だ、一番心配なのは果たして9月までにこの状況は改善される のだろうかってことです。もし、改善されなくて中国に戻れな かったら…。かといってこのまま中国に残って、運悪く感染し ちまったら…。不安の種は尽きません…。


第7話 新型肺炎
 スペイン人教師2人が早くも中国から脱出しました。今週末 にはアメリカ人教師2人も帰国するそうです。政府の公式な発 表はないけど、うちの省(陝西省)からも2名〜4名ほど患者 がでたそうです。俺ら日本語教師陣もいざというときの為の撤 退準備をし始めております。っつっても特に何もやってないん だけどね。ただ、帰国するってゆー選択肢も早めに考えておか ないと、最悪の場合、成田で入国拒否。もしくは中国から出国 拒否ということもありえるので、現在ビクビクしながら事の成 り行きを見守っています。これから飛行機の本数も減るだろう から、逃げるのなら「今」なのかもしれません。そんな折、俺 が担当しているクラスの学生が俺宛に手紙を書いてきました。

文法が微妙だけど、要約すると

「私たちは先生に中国に残ってくれとは言えません。私たちもSARS が心配ですから。でも、もしできることならば残ってください 。きっと状況は改善します。」

誰かに必要とされてるって、うれしいですよね。ちょっと泣き そうになりました。学生は慌ててこの手紙を書いたそうです。 どうしてでしょう?それは…

俺が 寝坊して授業に30分遅刻したのを 「肺炎?」って思って みんなで急いで書いたそうです…。
文末に「お大事に」って書 いてあったし…。すげぇ悪いことをしました…。


第6話 ツッコミ
 明日から2日連続で運動会が行われるため、木、金、土、日と4日連続オフです。ホリデイっす♪最近、授業がやたら疲れます。なんといいますか…突っ込み疲れ?みたいな。大学のときは ず〜っとボケ担当 だったから、突っ込みになれてないってのもあります。突っ込みの対象は、もちろん学生。 中国国内に対する突っ込みも多々ありますが、今回は学生の「ボケ」をいくつか紹介したいと思います。
(「〜したり、〜したりします」を使って例文を作りなさい)
学生:「私は毎朝、コーヒーを飲んだり、本を飲んだり、テレビを飲んだりします。」
俺:「人間ポンプかよ!」


(「あれは〜ですか?それとも〜ですか?」を使って例文を作りなさい)
学生:「あれは自転車ですか?それともお姉さんですか?
俺: 「何を見たんだよ!」


極めつけ、作文の発表で「校長先生は急に悩んでしまいました。」と伝えたかった女の子。
学生:「校長先生は急に悩ましくなってしまいました。」
俺:「そんな校長はセクハラで懲戒免職だよ!!」


早く学生に突っ込まれたいです…。


第5話 新興宗教
 いよいよ本格的に暑く なってきた、ここ西安外 国語学院。初めは「あい うえお」すらわからなか った一年生も、今では恋 愛相談までできるように なりました。
 日本の大学 と違って合コンとかない し、バイトしてる子もあ んまりいないから、基本 的に出会いは教室になり ます。「隣の席の子に、 教科書見せてもらってる うちに好きになっちゃっ て…。」など、とてもピ ュアなんです。告白も、 酒の席で「ねぇ、俺たち 付き合っちゃわねー!? 」 ってゆー感じではなく て、相手の子に花束を贈 るとゆーすげぇアンティ ークな方法が一般的だそ うです…。
 花束もそうなんですが 、価値観の違いなのか中 国人のプレゼントは 「え !?ギャグ!?」 って感 じのものがすごく多いん です。俺の誕生日のとき も学生がいろいろ不思議 なものをくれました。
 花瓶や水筒から、 「愛 」って書いてあるライタ ー まで…。そのなかでも 、一番面白かったプレゼ ント。

ある、おとなしい女の子 の学生が

学生:「先生、これプレ ゼントです。私の気持ち です。開けてみてくださ い。」
俺: 「うん、ありがと う。」

中身、なんだったと思い ます?袋を開けるとなか からは



ヘビメタのCDが!!


彼女の気持ちは、いまだ に見えません…。



第4話 新興宗教
 中庭に植えられた桜が咲き出した、ここ西安外国語学院。一昨日の最高気温は25℃。夏じゃん!!と思いきや、次の日の最高気温は12℃…。何服を着ればいいのかわかりません…。
そんな適当な気候の中で暮らす人々は、やっぱり適当になってしまいます。
 現在、学内LANを使ってネットしてますが、突然サーバーの調子がおかしくなり、いきなり断線。2〜3日余裕で不通になったりします。
 まぁネットが使えなくなる程度なら日常生活にそれ程差し支えないんですが、この調子でいきなり停電、断水なんてことが頻繁にあるんです。しかも、週末の夜8時とかに…。で、早ければ2〜3時間で復旧するんだけど、ひどいときには次の日の深夜3時とか…。
 学校全体が停電になるもんだから行き場所がなくなっちまうわけです。仕方なく散歩しながら教室に立ち寄ってみると、机にロウソクを立ててボソボソと日本語の音読の練習をしている俺の生徒たちが…。勉学に勤しむ彼らには申し訳ないが、 どう見ても「あやしい新興宗教」…。 かわいそうだったから停電の間だけ、やつらの教祖様になってあげました。

俺: 女ってのはさ、魔物なんだよね
学生: 魔物ってなんですか?
みたいな…。



第三話 外国人教師
 向かいのスペイン人教師のベランダから「NO!WAR!」と書かれた垂れ幕がはためく、ここ西安外国語学院。外語大だけに、外国人教師の数は他大学に比べ、かなり多いです。
 学校の敷地内に「外国人居住区」のような場所が設けられており、そこに固まって住んでいます。
 人種も様々で、まず俺ら日本人。1番多い陽気なアメリカ人、ちょっと引きこもりがちなイギリス人、ナンパなイタリア人、物思いにふけるフランス人、プライドの高いドイツ人、戦争反対のスペイン人、オタク気味な韓国人etc…。それぞれのお国柄が反映されてます。
 ここでの公用語は中国語と英語。ってゆーか英語です。中国に住んでいることを忘れてしまうくらい…。無理してでも話 さないとハブにされてしまうので、頑張って英語を話してます。一緒に飯食いにいったり、買い物に行ったりして。
そんな俺についたあだ名は 『イエス・マン




  笑いたければ笑ってください。でも、俺はここから這い上がってみせます…。



第二話 中国の大学生
 朝6時、鳥の声と共に英語、日本語、フランス語、ドイツ語など、様々な声がこだまする、ここ西安外国語学院。中国の大学は基本的に全寮制なので、学生と我々教師たちは学校の敷地内に住んでいます。学生たちは夜10時半まで勉強、朝6時から音読の自主練、そして朝8時から授業が始まります。
 現在、中国国内における大学進学率はおよそ3%、つまり彼らはエリート中のエリートなのです。金持ちのボンボンもいれば、貧しい農家の長男もいます。でも、みんな大学で学んだことを生かし、自分を育ててくれた両親に恩返しをしようと必死に勉強しています。 そんな奴らを教えるわけですから、俺らもかなりプレッシャーを感じています。特に日本語は英語などの言語に比べるとかなり流動的で常に変化しています。教える側もいくら基本文型とはいえ、ガッツリ予習していかないとやられちまうわけです。

俺:  (やべぇ…この場合「は」だっけ?「が」だっけ?)

学生: おいおい、頼むぜジャップ!しっかりしろよ!

みたいな…。まぁ、まだ1年坊だからそこまではやられないっすけどね。そんなわけで、中国人学生の意識の高さに触発されつつ、今日もまた授業に行くわけです。


第一話 自己紹介
 はじめまして。2002年度オーディン卒業生の小堀拓海( こぼり たくみ)と申します。プロフィールにもあるとおり、 中国で日本語教師をしています。
 さてさて、今回は第一回目ということで「日本語教師」につ いて簡単に説明したいと思います。日本語教師とは、平たく言 えば、日本語で日本語を教える先生、のことです。「なんだ、 俺(私)でもできんじゃん!」と思われる方も多いと思います 。しかし、そんな甘いもんじゃございません。「日本語だけで 、日本語を話せない学習者に日本語を教える」これを(直接法 )と言います。簡単に言えば、「英会話のNOVA」の日本語バー ジョン。特に自分の担当は1年生。
「日本人を初めてみた中国 人100人VS中国に初めて来た日本人1人」

学生:なに言ってるかわかんねーよ!
俺:なんでわかんねーんだよ!!

こんな、感じで授業が進んで行きます。初めの頃は1日の精神 的疲労感が半端じゃなかったけど、今はむしろ楽しんでやって ます。
 そんなわけで、これからHPの方で中国でのおもしろおかしい 出来事をアップしていこうと思いますので、どうぞよろしくお 願いします。