小堀の日本語教 師への道 !
2004


筆者プロフィール
文教大学 日本語日本文学科卒業後、中国 陝西省 西安外国 語学院大学へ日本語教師として赴任していました。
現在、紳士服店から一転、都立高校に赴任し活躍中!
ちなみに、現役時代のポジションはテール・ バック兼リターナー 

第50話 男前
 「帰国」を発表した次の日の授業、クラスの何人かは「なん で帰国するんですか?」みたいな質問をしてきました。

俺:「残っても、来年お前らを担当できないからだよ。」

 中国のほとんどの大学は1、2年生で基本的な日本語会話能 力、聴力、リーディングとライティングを勉強させて、3、4 年生で日本事情や日本の古典文学などの専門分野を学ばせると いうカリキュラムが組まれてるんです。ここ西安外国語学院も 同じ。
 自分としても「2年」というのは中国来る前から一応目安と して決めてた期間だったので、予定通り帰国しようと思いまし た。
 このことを学生に説明したら、意外とアッサリ納得してくれ ました。

学生:「じゃあ、残りの期間を楽しく過ごしましょう。」
俺:「そうだね、仲良くしてね。」
俺:「あ、それと私の後任で新しい先生が来ます。」
学生:「男の先生ですか?女の先生ですか?」
俺:「……男です!!!しかも、イケメンです!!!」
学生:「???」
俺:「イケてる(いい)+面(顔)ってことだよ。」
学生(女子):「キャーーーーー!!」

 イケメン…ここに来て、また微妙な単語を教えちゃったかも しれません。


第49話 帰国します。
「今学期いっぱいでココ(西安外国語学院)を辞めて、日本へ 帰ります。」
この一言を言い出すタイミング、実はかなり難しいんです。
 今学期で西安外国語学院を辞める日本人教師は自分を含めて 3人。みんないつ学生に切り出すかで頭を痛めていました。一 般的には
授業のラスト30分で「実は〜」と切り出す

学生呆然

教師、感極まって泣き出す。

学生ともども号泣。

ってゆー感じなんです。他の2人の先生はこのパターンでいく ことに決めたそうなんですが、俺はあんまりこーゆーの好きじ ゃないんです。最後の授業は湿っぽくせずに明るくしたかった し、残り1ヶ月間で学生と思いっきり遊びたかったんで。
 っつーことで、帰国1ヶ月前に「俺、今学期でここ辞めっか ら。」ってことをサラリと話しました。その日の授業終了10 分前に。学生の反応は…泣いてる子もいましたが、ほとんどの 学生は「小堀、また言ってるよ…。」って感じでした。すっか り狼少年ですね(笑)
 しかし、狭い学内で噂は瞬く間に広がり、その日の夕方には 自分のところへ問い合わせの電話が殺到しました。

「本当に帰国するんですか?冗談ですよね。」
「いや、マジだよ。」
って感じで。

これから、この後1ヶ月間の間に起こったことを書いていきた いと思います。


第48話 あなたならどうする?
西安、雨全然降りません。洗濯物がガンガン乾きます。とゆ ーか俺自身干からびてます。
 さて、前々回に引き続き学生の授業について。今回はある男 の学生で、彼の授業のテーマは「その時、あなたならどうしま すか?」でした。
1.もし、みなさんが日本に留学して、勉強に熱中するあまり 食費までも全て使い果たしてしまった時、あなたならどうしま すか?

学生1:「大学の先生に相談します。」
学生2:「友達に相談します。」
俺:「(うん、妥当な判断だな。)」
学生3:「どろぼうするしかないです。」
俺:「(シャレになってねーぞ…)」
学生4:「出会い系サイトで援助してくれる相手を探します。 」
俺:「(その日本事情はどっから仕入れたんだ!?)」

2.女性に質問です。もし、夜道で変態に遭遇したら、どうし ますか?

学生1:「大声を出して、助けを呼びます。」
学生2:「走って交番へ行きます。」
俺:「(まぁ、普通そうするよな。)」
学生3:「敢て抵抗はしません。」
俺:「(諦めんなよ!)」
学生4:「私も変態になります!」
俺:「(…ある意味一番効果的かもな…。)」

2年間で、日本語での冗談も学んだようです。ただ、どこまで が冗談か分からない時があるので困るんですがね…。


第47話 餃子
本当に今更なんですが、最近餃子にはまってます。やっぱり 本場はウマイ!!ってことに2年目にして気付きました。って ことで、今回は中国の餃子についてちょっと説明します。
 まず、中国の餃子は焼きません。茹で餃子だけ。それと餃子 の中にニンニクは入っていません。ニンニクが生のままテーブ ルにおいてあるので、食いたい人は勝手に剥いてそのまま食べ ます。ちなみに俺も一回挑戦しましたが、とてもじゃないけど 食えませんでした…。それから、中国の餃子は1人前、2人前 ではなくて全部量り売りなんです。
「おねーちゃん、○○餃子 200gね。」みたいな感じで注文します。
まず、店に入ってテーブルに座ると、無愛想なねーちゃんがメ ニューを投げつけてきます。バシッって。メニューはもちろん 餃子だけ。「ニラ餃子」、「レンコン餃子」、「鶏肉トマト餃 子」、「セロリ餃子」などなど…。ちなみに俺的に一番ウマイ と思うのが「レンコン餃子」レンコンのシャリシャリ感がたま らないんです。
 「レンコン餃子ください。」ってゆーと、ねーちゃんが「何 g?」って聞いてきます。中国で一番よく使われる重さの単位 が「斤(ジン)」と「両(リャン)」、1斤が500gで1両 がその十分の一の50g。普通に「腹減った。」って時は3両 、「マジ腹減った。」って時は4両頼みます。で、注文し終わ るとねーちゃんが無言のまま奥に行って、お椀に白濁色の液体 を入れて持ってきます。餃子の茹で汁、「そば湯」ならぬ「餃 子湯」。なんでも消化がよくなるそうで…決してウマイもので はありませんが…。
 しばらくすると、ねーちゃんが注文した餃子を運んできます 。皿いっぱいに…。3両=150gなんですが、これが意外と 多い。で、それを黙々と食って帰るわけです。
 中国の餃子ってウマイだけじゃなくて値段が激安なんです。 1両が1元、日本円にすると15円。4両頼んでも60円…。 お腹いっぱい食べても吉野家の卵と同じくらいの値段なんです ね…。


第46話 結婚
6月です。相変わらず暑いです。西安には梅雨がないので毎 日サンサンと太陽が照りつけております。
 以前も書きましたが、現在授業の約四分の一を学生に担当さ せてます。先日もある学生に授業をやってもらいました。その 学生の授業内容は「日本の芸能人の結婚について」という大変 興味深いものでした。特に最近、同僚の日本人の先生が婚約な さったことと、中国に広末涼子のドラマ「できちゃった結婚」 が入荷したのとが重なって、学生の間で「結婚」というのがキ ーワードになってるようです。
 その学生、日本の芸能人、特に同年代の結婚についてネット でいろいろ調べて、自分なりに分析して発表してました。 宇多田ヒカル、広末涼子、元スピードの今井絵里子などなど… 。ただの結婚じゃなくて、「できちゃった結婚」に興味を持っ ているようでした。
 結構おもしろい内容だったんですが、いつも一番前に座って る真面目な女の子は、いつになく複雑な面持ちで聞いていまし た。(やっぱカルチャーショックうけてんのかな…。)とか思 いつつ、

俺:「まぁ一般的に日本人はいつも『できちゃった結婚』って わけじゃないからね。」

なんて、微妙なフォロー入れて授業進めました。授業が終わっ た後、案の定その女の子が俺んとこに来ました。

学生:「先生、日本では私と同年代の女の子たちがドンドン結 婚して、母になってます。」
俺:「まぁ、芸能人だからってのもあるんじゃない?」
学生:「私は今まで何をしてきたんでしょう…。自分が恥ずか しいです…。」
俺:「ん!?」
学生:「私も、早く母になって結婚します!」
俺:「『結婚して母になります!』だろ!?」

真面目な子ほど影響されやすいんですね。気を付けてあげない と…。


第45話 中国的病院
今思うと、月曜日から調子が悪かったんです…。スポーツ選 手風に言うと、胃のあたりに違和感を感じてたんです。火曜日 、やっぱおかしいってことで胃薬飲んで早く寝ました。で水曜 日、早朝から強烈な胃痛…。
誰かに胃を摑まれてるよう な変な痛み。とりあえず、授業は困難ということで学部に連絡 、それから外事所(第37話参照)に連絡しました。そしたら ミンミンが

ミンミン:「先生、それは絶対病院へ行くべきです!!」

 病院…中国来てもうすぐ2年…できれば避けて通りたかった 場所…。北○鮮ほどじゃないにしろ、やはり日本の病院とは違 うだろうし…。30分ほど悩みました。でも、このまま家で寝 てても治りそうもなかったので、おとなしく病院へ行くことに しました。
 学校の敷地内にある付属病院。結構デカイ病院で、極端に重 い病気じゃない限りココで治せるそうなんです。
 ツッコミどころが満載でした。まず人が多い!っつっても患 者じゃなくて医者が無駄に多い!!患者1に対して医者9ぐら い…。そして、ほとんどが女医さん。自分のこと診てくれた方 も女医さんでした。で、ミンミンの通訳で自分の症状を話して る最中に女医さんの携帯に入電。
中国に携帯のマナーはありません。以前授業で携帯のこと話し た時も

俺:「病院や飛行機の中では絶対に電源は切らなくちゃいけな いし、車を運転しながら使ってもダメ。本当は電車やバスの中 でも切らなくちゃいけないんだよ。」

って言ったら学生に

学生:「…それじゃ『携帯』する意味ないじゃん…」

って呆れられたぐらい。女医さん、俺のことほったらかしで電 話に夢中…。10分ほどしてからやっと相手してくれました。 診断の結果は「急性胃腸炎」。そんなにたいした病気じゃない から、点滴打って安静にしててくださいとのことでした。何の 点滴なのかは未だにわかりません。まぁ、わからない方がいい こともありますしね。
 とりあえず、大事にいたらなくてよかったです。


第44話 ボディーランゲージ 
42話でも話しましたが、自分の授業の一部を学生に担当し てもらってます。みんな結構準備してきて面白い発表をしてく れてます。その中でも、特に面白かったもの。
 ある学生が「ボディーランゲージ」について発表しました。 ボディーランゲージって、当たり前ですが万国共通ではないん ですね。例えば、人差し指を頭の横で回転させる動作。これっ て日本だと「クルクルパー」って意味じゃないですか(クルク ルパーって、もしかして死語?)。でも、中国だと「今、考え ています。」って意味になるそうです。
一番興味深かったのが小指を突き出す仕草。これ、日本では 「彼女、恋人」って意味じゃないですか。でも、中国では相手 を馬鹿にする時に使う仕草だそうです。それと中国の一部の地 域では、「トイレに行きたい(小)」って意味になるそうです 。ちなみに、その地域では親指を立てると、「トイレに行きた い(大)」って意味になるそうです…。その地域に旅行に行っ て、うっかり笑顔で親指なんか立てちまった日には「なんだこ いつは!」って話しですよ…。
 余談ですが、インドでも小指を立てる仕草は「トイレに行き たい(小)」って意味になるそうです。前になんかの本で読ん だんだけど、日本に初めて来たインド人の話。友達と遊んでい る時、急にトイレに行きたくなったそうです。でも、日本に来 て間もない頃だったので「トイレに行きたい」ってどう言った らいいかわからず、小指を立てながら「コレ!コレ!」って友 達に必死で訴えたそうです。
そしたらその友達「あぁ、わかった。わかった。」っつって、 女の子を紹介してくれたそうです…。
 文化の違いって、深いですね。


第43話 中間試験
5月1日から一週間、「五一節(そのまま…)」と呼ばれる ゴールデンウィークに入りました。丸々一週間休みっす。
学生は実家に帰ったり、リッチな奴は旅行したり。で、俺は… 家でのんびりすることにしました。人多いし、なんかまた肺炎 もチラホラ出てたりするんで。
 話は変わりますが、先日中間試験を行いました。今回はチョ ット趣向を凝らして、グループ発表。

「日本語で劇を演じろ!」

にしてみました。題材はオリジナルでもパクリでもOK。とに かくその役に入りきった奴の勝ち。制限時間20分。人数は1 グループ3人以上6人以下。
 学生ノリノリでした。オリジナルもいくつかあったんですが 、一番多かったのが日本のドラマ。こっち(中国)では日本の ドラマや映画のVCD、DVDが何故か格安で手に入るんです 。何故か…。敢て詳しくは話しませんが…。一番人気があるの は「東京ラブストーリー」。中国人なら誰でも知ってるドラマ です。これを見て、感動して日本語学部に入っちゃった奴も少 なくないとか…。あとは1990年代後半の「月9」。「一つ 屋根の下1.2」、「ロングバケーション」「ラブジェネレー ション」など。
 みんな衣装用意したり、CDプレイヤー持ってきて音楽いれ たり、小道具使ったりとカナリ気合い入れてやってくれました 。「東京ラブストーリー」演じた奴らなんか、もう完全に役に 入っちゃってて、女の子とか目ウルウルさせながら「か〜んち !」とか言っちゃったりして…。観てる俺の方が恥ずかしくな っちゃいました。
 テープに録音したんで、それ聞きながらこの休み中に全員分 (100人…)採点します。気が遠くなりそうです…。


第42話 教師交代
  暑いっす。ここ3日間の最高気温は32℃。4月でこんだけ 暑いんなら、12月にはどれだけ暑くなるんだって話しですよ ね。(愛想笑い)
 さて、実は2ヶ月ほど前からある実験的な試みをしておりま す。それは、「授業の4分の1を学生にやらせる」ってモノな んです。こっちの授業は1コマ1時間40分。そのうち間に1 0分休憩入れるので、ほぼ日本の大学の授業と同じですね。た だ、自分が受け持ってる学生、ずーっと同じメンツで週二回1 年半やってきたので、いよいよ俺の小話もネタが尽きてきまし た。それと授業やってて気付いたのは、毎回発言する学生が決 まってきてるって事。もちろん指せば答えるんだけど、自発的 にってのがなかなか難しいんですね。「学生に話しさせなきゃ なぁ」って考えはじめました。毎回1人に発表させるってのは なんかベタだし、結局原稿を棒読みしちゃうだろうから意味ねーなって。そこで思いついたのが「学生に先生をやってもらう」こと。
 「学生自身が興味ある分野に対して積極的に研究し、それを 日本語で教えることによって会話能力の発達を促すと同時に日 本語会話に対する自信をつけさせる。」とゆー教育的意義をこ じ付けられると共に  「授業の4分の1を学生にやらせることによって、俺自身の 授業の負担を軽減させられると同時に、学生自身が何について 興味を持っているか、どんな授業を求めているかを直接知る事 ができる。」とゆーメリットも生まれる、まさに夢のような企 画なんです。早速授業で

俺:「来週からみんなに、ちょっと先生をしてもらいます。」 って言ってみたところ
学生:「ふざけんなよ!小堀てめぇ授業放棄する気か!?」

って反応はもちろん無く、みんなノリノリでした。
 実際やらせてみたところ、一応規定時間は「最低15分」っ てことで決めてたんだけど、授業してるうちに止まらなくなっ ちゃう子続出で、平均30分ぐらい授業やってくれてます。学 生が先生だと、他の奴らも俺より発言しやすいらしく、マジ議 論になっちゃったりしてます。
 これから、どんなネタが飛び出すか、すげぇ楽しみです。


第41話 視覚と味覚の関係
 いきなりですが、キャベツって素敵な野菜ですよね。煮ても 炒めても生で食っても旨い。最近、ちょっとキャベツにはまっ てます。キャベツスープ、キャベツ炒め、キャベツサラダ(← これは料理じゃねーか…)
 先日も、そんな愛しいキャベツを前にどう料理してやろうか 考えてました。

俺:「そうだ、キャベツと豚肉をバターで炒めてラーメンの上 にのせてやろう!」

早速、豚肉を解凍してキャベツを刻んでお湯を沸かしました。 しばらくして湯が沸き、ラーメンを入れようとしたその時!目 の前が真っ暗になりました。

俺:「!!!…えっ!?俺、もしかして気絶してんの?」

視界を失ったと同時に頭の中が真っ白になりました。放心状態 のまま、しばらくしてある事に気がつきました。コンロの火だ け見えるんです。台風もきてないし、もちろん雷も鳴ってない 。普通の火曜日のゴールデンタイム、突然停電です。まぁ、西 安じゃよくある事なんですが…。掲示板に張り紙もしてなかっ たし、30分もすれば回復するだろうと思い、小型の蝋燭つけ てぼーっとしてました。しかし、1時間過ぎても電気がつかな い…俺のお腹鳴りっぱなし…。しかたなく暗闇でクッキングし ました。ラーメンとスープは勘でなんとかできる。でも、問題 はキャベツ炒めの豚肉…。解凍しちゃったし、やるしかなかっ たんです。中華鍋にバター落としてキャベツと豚肉を炒めはじ めました。途中で醤油も加えて。キャベツがしんなりしてきた のは分かりました。でも、問題は豚肉の色。小さい蝋燭の明か りだけで作ってたので、まだ赤みがある のかどうか分からないんです。これが牛肉なら多少半生でもノ ープロブレムだったんですが…。
 とりあえず、適当なところで炒めるのやめてラーメンの上に のせました。で、いざ実食。  バターの香りが食欲をそそりました。でも、食ってみると味 が微妙にわからないんです。っつーか大袈裟な話し自分が今何 を口にはこんでいるか、そして何を噛んでいるか…。

 味覚だけでなく、「食」というものは視覚も大切な要素なん だなと改めて感じました…。  ちなみにその後停電が回復したのは午前3時…。明け方に部 屋の電気が全部ついて起こされました…。2年目ですが、 まだまだこの国を理解するのは難しいみたいです…。


第40話 4月1日
こんにちは。第40話です。100話超えたら本出版しよう かなって企んでます。

4月1日、エイプリルフール。日本では春休み中ってことも あって、あんまり盛り上がらなかったりしますが、中国では意 外と熱いイベントだったりします。教室行ったら自分の受け持 ちでない学生が真顔で座ってたとか、教室に誰もいなくて「ボ イコット!?」って思ったりとか…。
 うちら教師にもプライドがあります。今年は学生にハメられ る前にハメてやろう、っつーことで日本人教師3人で入念に打 ち合わせをし、3人が受け持つクラスに別々に入っていこうと ゆー計画をたてました。自分は普段、2年生だけ担当してるん ですが今回は1年生のクラスに乱入。で、何食わぬ顔して授業 をし、帰って行くってことで決まりました。
 実行前日、ただ授業して帰る。そんなの誰でもできる。自分 にしかできないことは無いだろうか…。
夜中2時まで、必死にある勉強をしました。で、次の日…。

俺:「おはようございます。今日はみなさんの先生が緊急会議 のため、私が授業をします。」
1年生:「(゜д゜)ポカーン」
俺:「私の名前は小堀拓海です。父は日本人ですが、母はイタ リア人です。」
1年生:「( ´_ゝ`)プッ、よく言うよ…。」
俺:「私の母は髪が黒いです。でも目は茶色です。だから私も 目が少し茶色いんです。」
1年生:「ジーッ (@ ̄_ ̄) ……、まぁ茶色に見えなくもな いが…。」
俺:「中国語は苦手ですが、日本語とイタリア語が話せます。 」
1年生:「話してください。」
俺:「Buon Giorno!(こんにちは)Quanto e questa cosa ? (これ、いくらですか?)」
1年生:「( ̄△ ̄;)エッ・・?」

一夜漬けではありますが基本的な単語、文法構造、そして発音 は完璧に勉強しました。特にイタリア語特有の「r」の巻き舌 音、これを必死に練習しました。で、学生に教える基本文もこ の「r」の音が入る物をメインにしました。
例えば「Arrivederci  アリベデルチ(さようなら)」とか
「Per Favore ペルファ ヴォーレ(どうぞ)」など。
イタリア語のHPで音声ダウンロ ードして、夜中一人で…。苦労した甲斐あって、1時間後には 奴らすっかり信じきっちゃってました。まぁ無垢な1年生だか ら簡単に騙せたっつーのもありますけどね。
 数日後、そのクラス担当の別の先生が…

1年生の先生:「小堀先生って在日イタリア人の2世だそうで すね。はじめて知りました。」
俺もはじめて知りました。「在日イタリア人」ってなんだよ… 。噂って怖いですね…。


第39話 ホトトギス
「鳴かぬなら???????ホトトギス」?の中に入る言葉 、みなさんはご存知ですよね。
 この前、2年生の教科書のトピックで「人の性格」という話 題がでてきたんです。例えば、「気が短い」「努力家」「温厚 」など。中国語の中にはない言葉などもあって、学生はかなり 苦労しているようでした。
 その課の最後にでてきたのがこの俳句。「織田信長」「豊臣 秀吉」「徳川家康」、彼らはいかにしてホトトギスを鳴かせた か、そこから垣間見られる彼らの性格とは。
 早速、3人の性格を説明して学生に答えてもらいました。家 康はみんな答えられました。予想どおり信長と秀吉に興味深い 答えが集中しました。

俺:「じゃあ、信長はなんだと思う?」
学生:「死んでくださいホトトギス」
俺:「語呂はいいけど、ちょっと信長らしさに欠けるな。」
学生:「殺しましょうかホトトギス。」
俺:「冷酷さは伝わるけど、もう少しワイルドな感じかな。」
学生:「食べてしまえホトトギス。」
俺:「そんな信長は嫌だ…。」

俺:「じゃあさ、秀吉はなんだと思う?」

 ちょっと学生たちは考え込みました。隣と相談したり、秀吉 のプロフィールをもう一度読み返したり。
しばらくして、一人の学生が答えました。

学生:「鳴かぬなら『私が鳴きます』ホトトギス。」
俺:「お前こそ、本当の秀吉だ!!」

 ひさしぶりに、授業でイイもの聞かせてもらった気がします 。


第38話 ハンドブック
自分を含む、多くの日本語教師が密かに愛用しているマニュ アル本があります。その名も
「初級を教える人のための日本語文法ハンドブック」(スリー エーネットワーク)
一冊2200円とちょっと高めなんですが、新しい文法を導入 する時のコツや例文、教師が最低限知っておくべき知識などが 網羅されている非常にありがたい書物、いわば日本語教師のバ イブルなんです(自分にとっては)。「感覚的にはわかるんだ けど、これをどーやって簡単な日本語で説明すれば いいかわかんねー。」って時に使います。まぁ、毎回教案書く たびに使うってもんじゃなくて、どーしてもうまい例文が思い 浮かばなかったり、ちょっと自分の認識が曖昧だったりすると きに助けてもらうものっす。
 で、この前も「あぁ〜うまく説明できねーなー…。」って所 があって、「ハンドブック」に助けてもらおうとしたんです。  ところが…調べても載ってないんです。似たような文法の説 明はあるんだけど、自分が知りたい文法の説明がどこ探しても 見当たらない。「ハンドブック」をじっと睨みつけました。
「なんで、載ってないんだろう…。」
20分後、ようやくわかりました。

「『初級を教える人のための日本語文法ハンドブック』に載っ てないってことは、もう俺の学生は初級ではなくて中級なんだ 。」と。

 「あいうえお」を必死で練習していたのが、昨日のように感 じます。娘が大人になった時の父親の心境って、こんな感じな んでしょうか…。なんか、うれしいような寂しいような…。
 ちなみにおなじ出版社から 「中級を教える人のための日本語文法ハンドブック」 というのが出ています。もし、興味がある方は読んでみてくだ さい。結構面白いっすよ。高いけど…


第37話 日本語通訳
西安外国語学院には、俺ら外国人教師を取りまとめる「外事 所」という所があります。俺らの給料の振込みをはじめ、中国 での居留証や労働ビザ、一時帰国のためのリターンビザの発行 。帰国の際の航空券の購入や病院の紹介など、生活する上で必 要な様々なコトをしてくれる非常にありがた〜い所なんです。 で、そこには2人の通訳がいます。2人ともこの学校の卒業生 で、1人は男性で英語の通訳。もう1人は女性で日本語の通訳 なんですが…。
 この日本語の通訳を仮に「ミンミン」という名前にします。 ミンミンは身長が174センチで、顔が小さくて、すら〜っと したバリバリのモデル体系。顔もカナリ美人だから、たまに式 典でスーツなんか着てるとスッチーみたいですごくカッコイイ んです。欧米の先生も「日本語の通訳の子はキレイだね、いい な。」なんて時々言うんですが、とんでもない。彼女、見た目 はキレイなんですが、日本語が変なんです…。しかも大事な時 に…。
みんなで旅行に行った時

ミンミン:「先生、今10時ちょうどですから20分後、また ココに集合してください。」
俺:「じゃあ、10時20分にココに来ればいいのね。」
ミンミン:「いいえ、20分後ココです。」
俺:「うん、だから10時20分にココでしょ?」
ミンミン:「(半ギレで)いいえ!20分後にココです!」
俺:「…。」

ミンミンには彼氏がいます。そのことはみんな知ってるんです が、彼女はなぜか必死に隠そうとするんです。

俺:「ミンミンは昨日誕生日だったんだよね?おめでとう。誰 と過ごしたの?」
ミンミン:「はい、彼氏と…いいえ!いいえ!…ある男とご飯 を食べました。」
俺:「…普通に彼氏っつったほうが健全だと思うぞ…。」

この前、飯食いに行く途中でミンミンをみかけました。声をか けようとしたんですが、なにやら例の「ある男」と口喧嘩の真 っ最中。しかも路上で…。ミンミン俺のコトちらっと見たんだ けど、とりあえずその場はスルーして次の日ミンミンに直接話 しを聞きました。

俺:「ミンミン、昨日誰と一緒にいたの?」
ミンミン:「あれは、あれは…弟の友達の幼なじみです…。」
俺:「すげぇ遠いな!っつーかほぼ他人じゃん!!」

こんなミンミンですが、実は俺とタメです。「先生の動物と私 の動物は一緒です。」とこの前言われました。一瞬何のことか わかんなかったけど…。


第36話 坊主
授業が始まってかれこれ2週間弱。ようやく俺も学生も休み ボケから解放されつつあります。
 ある日の授業で、いつものように話しが脱線してしまい「ス キンヘッド」についての話題になりました。日本じゃスキンヘ ッド、いわゆる坊主ってそんなに珍しくないじゃないですか。 中学・高校の野球部なんていまだに坊主にしてるところ多いし 、おしゃれで坊主にしちゃう人だっているし。でも、中国人的 にはそれってカナリ変なんだそうです。彼らが「坊主」と聞い て真っ先に思い浮かぶのが少林寺だそうで、授業の話題も坊主 から少林寺に移行しました。

俺:「少林寺の人ってさ、額に『てんてん』つけてるじゃない ?クリリンみたいなやつ。あれってどーやってつけるの?」

学生が周りと相談しています。どうやら学生は知っている模様 です。しかし、『てんてん』をつけるモノを日本語で何という かわからないようで、ある学生が

学生1:「あれは、とても熱そうです。」
と言いました。う〜ん、なるほど。焼印みたいな感じなのか… 。しばらくして、ある一人の女の子が言いました。
学生2:「先生、あの『てんてん』は…タバコでつけます。」
俺:「ヤンキーの根性焼きかよ!」

ひさびさに、爆笑させていただきました。後で詳しく話しを聞 いたところ、あの『てんてん』は線香でつけるそうです。タバ コでつけたら…それはそれで、めちゃめちゃ強そうな「少林寺 」ですけどね…。


第35話 天国に一番近い車 
おひさしぶりです。いきなりですが、1月11日に帰国して 、2月6日に西安に帰って来ました。自分の担当してる学生で 、一人西安に住んでるおぼっちゃまがいるんです。そいつ、空 港まで車出してくれるっつーんで行きも帰りもお願いしちゃい ました。2月6日、ちゃんと空港まで迎えに来てくれてて、そ いつんちの車に乗ったんです。そしたら、突然運転手が車から 降りて後部座席の俺の隣に座りました。嫌な予感がしました。

学生:「先生、今日は私が運転します。先日、運転免許を取り ましたから。」

予感的中です。助手席にはそいつの彼女が乗ってました。俺が 空港着いたのは夜10時。夜道に免許取立ての男が隣に彼女の せてマニュアル車で運転…。しかも高速道路。スリルドライブ の始まりです。
「死ぬ…」と思ったんですが、意外と安全運転。問題なく車は 走って行きました。
 車は快調に学校へ向けて進んで行きました。ところが、突然 そいつハザードつけて路肩に車止めたんです。道を間違えやが りました。しばらくして、運転手交代。正規の運転手が運転席 に座り一安心、も束の間。突然、その運転手バックしだしたん です。高速道路を…。俺の不安な顔を見て学生が

学生:「先生、大丈夫です。彼はとても運転がうまいんです。 」
そーゆー問題じゃねーだろ…
学生:「しかし、彼は数日前、路上で人を轢いてしまったので 今は免許がありません(笑)」
(笑)じゃねーよ!!犯罪者じゃねーかよ!!
その後、幾度となく生命の危険を感じましたがなんとか学校に たどりつきました。 そんなわけで、今学期もよろしくお願いします(*- -)(*_ _)ペ コリ